みなさんは普段本を読むとき、電子書籍と紙の本をどちらを中心に使っていますか?

僕は春にiPad Proを買ったのを機にマンガなどを電子書籍で購入しているのですが、まだまだ中心は紙の本という状況です。

せっかくだし電子書籍も活用していきたいと思ったので、現時点で自分の感じている不満点と利点を書いて整理してみようと思います。

電子書籍の残念な点

DRMへの不信感

私達が電子書籍ストアで本を買うとき、購入しているのはコンテンツへのアクセス権であってデータ本体の所有権ではありません。

データをローカルに保存できるじゃないかと思う方もいるかもしれませんが、それらのデータにはDRM(デジタル著作権管理)がかかっていて、基本的には各ストアの専用アプリでしか読むことができないのです。

これは単純に不便なだけでなく、ストアの運営会社がサービスを終了すると購入したはずの本が読めなくなるなどの問題が生じます。

電子書籍ストアの閉店は珍しい話とは言えず、日本ではローソンやヤマダ電機、海外ではマイクロソフトが電子書籍サービスから撤退しています。

またそのような場合の対応も事業者によってそれぞれで、返金や他社サービスへの引継ぎを行う場合もあれば、ローカル保存してあるデータのみ閲覧可能とする不親切な対応となった例も見られます。

↓そのようなサービスの例(WaybackMachineのアーカイブ)

サービス終了となった訳でなくとも、Amazon Kindleでユーザーの本棚から購入済みの電子書籍が削除された事案もあり、不安感があります。

デジタル音楽配信では代表格であるiTunesが2012年にDRMを全廃して以降、音楽分野ではDRM無しでの販売が一般化しています。

(ダウンロード購入したmp3ファイルはアプリや端末に関係なく聴けますよね?)

それもあって、未だにDRMを使い続けている電子出版分野に不信感も覚えてしまうのです。

せめてDRMを使うにしても仕様の標準化によってサービス終了の心配が無くなったり、カスみたいなUIと反応速度のビューワーに縛られなくなれば嬉しいのですが…

相互参照しづらい

これは法学書を念頭に置いているのですが、紙の本では複数の書籍を並べて行ったり来たりするのが簡単です。

法律の勉強をしていると、演習書(問題集みたいなもの)を解く時に教科書を参考にし、そこで参照されている法律や裁判例を六法全書や判例集で見るといった感じで、同時に3つ以上の本を行ったり来たりすることがよくあります。

紙の本では十分な大きさの机さえあれば、全ての本を開いて置いておけます。しかし電子書籍となるとそうはいかず、いちいち本棚画面に戻ってはそれぞれの本を開く必要があります。

この時の操作のラグさも相まってかなり使いづらそうで、法学書を電子書籍で買おうとはあまり思えません。

新しい授業を受けたり、改訂版が発売されるたびに増えていく上に、重量も体積も大きい法律書を電子化できればかなり便利だとは思うのですが、学習時の使いやすさを引き換えにすることはできず残念。

画質が低い(出版社やサイトによる)

マンガや写真集を読むときに気になるのが画質。

普段電子書籍の画質が低いと感じることはあまり無いのですが、好きだったゲームの設定資料集を買ったところイラスト周りにノイズが乗っているような雰囲気。

設定資料内の文字を読もうと拡大するとJPEG特有のモスキートノイズが線画周りに出ているのが見て取れ…

事前にサンプルでも確認していたので覚悟はしていたのですが絵がメインの本でノイズが出ているのはやはり残念。
印刷所への入稿時と同じくらいのデータを使うのは難しくても、せめて可逆圧縮を使うとかしてほしいところです。(webpとかHEIF使ったらどうにかなりませんかね… 無理そう)

↓ストア別に画質を比較している記事

↓電子書籍への最適化に力を入れている出版社も

値段

最後に一番重要度の低い要素として値段です。

本を買うときに候補のひとつとなるのがブックオフなどの古本屋の利用。
作家や出版社に対して申し訳ない気持ちはありますが、シリーズものを一気に揃えたり、高い教科書を買うときには値段が抑えられて助かります。

新品でも大学生協の組合員割引が効くので、紙の本は10%程安い価格で購入することができます。

また逆に自分が購入したものの読む機会の無くなった本があれば、現在価値を現金に替えることができるのは中古市場の整った紙の本の利点と言えるでしょう。

一方の電子書籍では購入した本へのアクセス権は購入者に一身専属的に帰属していて、基本的に他の人に譲渡することはできません。

また価格は紙の本と同額か、5-10%安いくらいの場合が多いです。
(芳文社77円セールなど大幅な値引きが行われることもあります)

音楽配信の場合、アルバムではCDより30%くらい安い場合が多く、比べると電子書籍は価格がやや高く感じてしまいます。

電子書籍データ作成の手間が大きいなどの事情もあり仕方ないとは思うものの、紙の本に気持ちは傾きます。

短所のまとめ

  • ストア独自のDRM
  • 同時に複数開けない
  • 画質が低いことがある
  • 中古が無い分値段が高い

電子書籍の嬉しい点

電子書籍への不満をタラタラ述べてきましたが、もちろん使っていて便利だと思う点も結構あります。

薄い・軽い

まずは軽くて場所も取らないという点。

当たり前の話ですが、電子書籍は本棚を占領することも無いし、重みもありません。
年々本を置く場所が無くなり、危機感があったのでこれはかなり大きい利点です。

また持ち運びの際にもカバンにスマホやiPadを入れておけばよく、前もって読みたい本を厳選して持ち運ぶ手間も無いので、移動中や旅行先で読書がしたくなった時にも快適です。

蔵書管理がしやすい

次は蔵書管理のしやすさ。

紙の本では本棚から目当ての本を探すのに苦労することがままあります。
また読んだあとに片付けを怠って所在がわからなくなることもあり、意識して整理整頓しないと蔵書管理は大変です。

一方の電子書籍では蔵書をアプリ内で一覧して管理でき、片付けを忘れることはありません。(複数のストアを利用していてどこで買ったかわからないことはある)

またしおりを入れ忘れてどこまで読んだか分からなくなることもありません。

読みたい本をすぐに読めるのは読書へのモチベーションが落ちず嬉しいです。

出版コストが低い

最後は本を出す側の視点となりますが、電子書籍は紙の本より低コストで作れます。

同人誌のような形式でも印刷や製本にコストがかかり、低ロットやカラー印刷となるとますます値段が上がっていきます。
さらに書店で流通させようと思うと料金は高額になっていきます。

一方の電子書籍ならファイルさえ自分で作れてしまえば、初期費用無しでAmazonで販売することができます。
また海外へ容易に販売することができるのも魅力的です。

これによってあまり部数が出ないような書籍でも販売できるようになり、品切重版未定本や単行本未掲載の短編などが購入できるようになってきました。

これは読者側にもかなり嬉しいポイントでしょう。

僕も入手を諦めていた品切本や小説雑誌に掲載され気になっていた短編を電子書籍の形で購入したことがあり、この利点を実感しました。

↓電子書籍で購入できた品切本と雑誌掲載の短編

長所のまとめ

  • 薄いし軽い
  • 蔵書管理がしやすい
  • レアな本でも楽に買える

総括

結局なにが書きたかったのかよくわからなくなりました。

以上で述べてきた短所のうち大きいのはDRMと同時閲覧のしづらさくらいなので、カスみたいなビューワーアプリ(特にレスポンスの遅さ)がどうにかなれば電子書籍中心に買うようになるような気もします。
あとよく考えると最近電子書籍でマンガを買いまくっているので、結局慣れてしまえばDRMとか考えずに買いはじめるかも。

どうせ本気で海賊版製作する人は紙媒体をスキャンするなり、画面をキャプチャするなりしてDRM回避できるんだから、実効性のない制約で普通に購入して読もうとしてるユーザーの利便性を害するのって利益衡量としてどうなんですかね?

電子化による恩恵が一番大きそうなのは重くてかさばる法律書ですが、並べて読めないのはかなり不便だし、そこが改良されることはまずなさそうなので紙媒体で買い続けることになりそうです。

また家でじっくり読みたいような本では重さなどのメリットはあまり享受できないので、当面は

さくっと読めるマンガ・新書・文庫本 → 電子書籍
法律書・じっくり読みたい本(ハードカバーとか)→ 紙媒体

という感じで買うことになりそうな気がします。

色々鑑賞したいコンテンツが積み上がっていますが、年々読書量が減ってる実感があるので読書も積極的にやっていきたいところです。

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